相続税の基本

はじめに

相続税は、親や親族から財産を受け継ぐ際に発生する税金です。突然の相続で戸惑う方も多いかもしれませんが、基本的な知識を持っておくことで適切な対応が可能になります。本記事では、相続税の基本についてわかりやすく解説します。

相続税とは

相続税は、被相続人(亡くなった方)の財産を相続や遺贈によって取得した人に対して課される税金です。財産には、不動産、現金、株式、貴金属、さらには負債も含まれます。

誰が相続税を支払うのか

相続税の納税義務者は、被相続人から財産を取得した相続人や受遺者です。ただし、すべての相続人が相続税を支払うわけではありません。遺産の総額が基礎控除額を超える場合にのみ、相続税の申告と納税が必要になります。

基礎控除額は以下の式で計算されます:

基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例: 法定相続人が2人の場合、

3,000万円 +(600万円 × 2)= 4,200万円

この場合、遺産の総額が4,200万円を超えると相続税の申告が必要です。

相続税の計算方法

  1. 遺産総額の算出:被相続人の全財産を評価します。
  2. 非課税財産の控除:生命保険金の非課税枠などを差し引きます。
  3. 課税遺産総額の計算:基礎控除額を差し引きます。
  4. 各人の法定相続分に応じた取得金額の計算。
  5. 税率を適用して相続税額を計算。
  6. 各種控除の適用:配偶者控除や未成年者控除などを差し引きます。
  7. 各相続人の納付税額の確定。

相続税の税率

相続税の税率は、取得金額に応じて10%から55%までの累進課税となっています。

課税取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

特例と控除

配偶者控除

配偶者が相続する場合、法定相続分または1億6,000万円までは相続税がかかりません。

小規模宅地等の特例

被相続人の居住用や事業用の土地を相続する場合、一定の面積まで評価額が最大80%減額されます。

相続税の申告と納税

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎると延滞税や加算税が課される可能性があります。

相続税対策のポイント

生前贈与の活用

毎年110万円までの贈与は非課税となります。計画的な贈与で相続税の負担を軽減できます。

生命保険の活用

生命保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があります。

遺言書の作成

明確な遺言書を作成することで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

記事のまとめ

相続税は複雑で専門的な知識が必要ですが、基本を押さえることで適切な対応が可能です。早めの対策と専門家への相談を検討しましょう。もしお困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。

代表税理士勝部 貴史

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